
そのあと「朱里ちゃんはまだまだ全っ然大丈夫じゃん!」と続くのだけど、彼のように、それがちっとも誉め言葉ではないということに気づかない男性は多いのだろうな、と思う。どんなに若くて美しい女性でも、永遠に時を止めることはできない。誰かを「ババア」とけなす男はいずれ、年老いた自分から心離れするだろう、ということを朱里はよく知っている。でも、だからといって真正面からキレるほど強くないのは、どんなに就活を頑張っても派遣OLにしかなれない自分が、安定した生活を手に入れるためには、“かわいい女の子”でいるしかないと知っているからだ。大好きな人から都合のいい女扱いされても、嫌われたくないからかわいい笑顔を浮かべるしかできない自分が、朱里は嫌いでたまらない。そんなとき出会ったのが、同じ会社に勤める経理の田中さんである。
地味で40歳にしては老けこんでいて、暗くて猫背。仕事はできるからAIとあだ名される彼女は、女として“枠外”だと若い社員から陰で言われていたのに、急に姿勢もスタイルもよくなったことに気づいた朱里。ペルシャ料理の店でベリーダンスを踊る田中さんを偶然見かけ、会社で見せるのとはちがう凛とした姿に魅了され、押しかけ女房ならぬ押しかけ友達をはじめる。
田中さんは、いわゆる美人ではないし、言ってみれば「オバサン」である。本人もそれは、自覚している。けれど彼女は、ただ長いだけと思っていた手足を生かすベリーダンスに出会い、うまれて初めて“好きな人”と一緒に過ごす幸せを得た。自分にできることをひとつひとつ、積み重ねて居場所をつくりあげている田中さんの姿を、朱里は美しくてカッコイイと憧れる。田中さんのようになりたいと強く願ったことで、朱里は小さくても着実に自分を変えるための一歩を踏み出していく。
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