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Monday, February 15, 2021

デジタル移民が日本のIT産業を「根本から変える」と言えるワケ - ビジネス+IT

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デジタル移民の労働力は国境を超える

(Photo/Getty Images)


米国企業のコールセンターの多くはインドにある

 私は2004年に、米国、シリコンバレーにあるスタンフォード大学に赴任して1年間過ごした。その時に、大変興味深い経験をした。

 自動車保険のことで保険会社に電話したのだが、電話口の女性の対応が非常に丁寧なので驚いた。米国の銀行などの窓口にいる女性は、無礼でぶっきらぼうなので、違和感を持った。

 そのとき、米国のコールセンターがインドに移転しつつあるというニュースを思い出して、この電話はインドにつながっているのではないかと考えた。

 そこで、「あなたはインドにいるのか?」と聞いた。答えは「イエス」だった。

 インド人の英語はなまりが強いが、彼女たちはアメリカ人と同じ英語を話せるように訓練されている。しかも米国のニュースも見ているので、世間話にも対応できる。だから、アメリカ人は、お隣さんと話しているような気持ちで、インド大陸と通話しているのだ。

 これは、「オンラインアウトソーシング」と呼ばれるものだ。

 インターネットによる通信コストの劇的な低下が、これを可能にした。

 製造業における国際的なアウトソーシングも、この頃から始まっていた(アップルがその典型であり、その頃から、iPodの生産が海外で行われるようになった)。モノの生産だけではなく、情報においても、このようなことが展開し始めていたのだ。

 前回、「デジタル移民が登場するだろう」と述べた。

 これは、日本では、奇想天外な空想世界の夢物語のように思われるだろう。

 しかし、世界では、すでに20年前以上から生じていることなのだ。

 そして、それによって世界はすでに大きく変わっている。

 日本が取り残されているだけのことだ。そして、いまだにそうした変化が起きていない。だから、日本人は、こうしたことを現実世界の出来事と思えない。

圧倒的に安い報酬で一流の専門家を使える

 オンラインでの国境越えは、コールセンターだけでない。

 米国とインドの間では、その後、データ処理業務がオンラインで行われるようになった。

 ここでは、時差がむしろうまく機能した。米国で業務が終わった時刻にインドで仕事が始まるので、その日のデータを送る。アメリカ人が寝ている間に、インドでのデータ処理が終わり、翌朝には米国で利用できる。

 さらに、会計や法律などの専門的業務も同様にアウトソースされるようになった。これらの仕事は、法律上の規制などがあるので、すべてを海外に頼るわけにはいかない。しかし、安いコストで一流の人材に仕事の一部分をやってもらうことができる。

 これによって、仕事を効率化し、コストを大幅に下げることができる。

 欧米諸国と途上国の間には、圧倒的な賃金の差がある。欧米の賃金水準は、途上国の12倍以上だ。

 途上国の専門家を雇えば、賃金が安いだけではない。労働法規の制約も受けないし、福利厚生もいらない。社会保険料の負担もない。契約を終了するのも、ボタンを1つ押すだけだ。

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労働力がボーダレスになれば安価に一流の専門家に依頼できるようになる

(Photo/Getty Images)


 リチャード・ボールドウィンは、『グロボティクス』(日本経済新聞出版社、2019年)の中で、米国で雇うと50万ドルを下らないITエンジニアとウェブデザイナーを、3万7000ドルで雇うことができたと書いている。そして、「オンラインの海外フリーランスを使わないで仕事を進めることなど、もはや考えられない」という。

 なお、ボールドウィンは、こうした専門家を「遠隔移民(テレマイグランツ)」と呼んでいる。

マッチングサイトで簡単に契約

 国際的なアウトソーシングの需要と供給を結びつけるオンラインのマッチングサイト(クラウドソーシングサイト)が、多数作られている。

 ここで雇える専門家の報酬水準は、欧米側からみれば著しく低いが、ほとんどの途上国では平均より上になる。したがって、一流の人材がこうしたサイトに登録している。

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