Pages

Friday, August 21, 2020

ピンチをチャンスに変える男 鳥谷敬。マリーンズを首位浮上に導いた激走 - スポーツナビ

 2点ビハインドの延長十回二死一塁からの逆転だった。8月20日の福岡ソフトバンクホークス戦(ZOZOマリンスタジアム)。土俵際に追い込まれて起死回生の一発を放ったのはマーティン。14号同点2ランで追いつくとその後の二死一、二塁のチャンスで二走の鳥谷敬内野手が決めた。相手バッテリーが暴投の処理に戸惑う間に三塁をまわり、本塁を陥れた。サヨナラ。大ベテランの気迫と経験のヘッドスライディングがチームを同率首位へと導いた。マリーンズが8月に首位に立つのは2010年以来の快挙だった。

 「ピンチと思うな。チャンスと思え」。鳥谷の座右の銘だ。この試合も最後はピンチだった。無死一、二塁の大好機を作ったが中村が三ゴロに倒れ二死一塁まで追い詰められた。しかし、もしかしたらそれがチャンスに繋がったのかもしれない。相手に油断、隙が生じ、その後の大逆転劇を導いたと考えることも出来る。鳥谷はそんな機敏な空気を察していたようだった。冷静に出番を待ち、代走で登場すると一つの隙からイッキに勝利を呼び込んだ。

 座右の銘は小学校の時の野球チームのコーチが卒業の際にボールの寄せ書きに書いてくれていたもの。その時は深くはなにも感じなかったが何年か経過をして部屋の整理をしていてこのボールが見つかり、この言葉が目に留まった。嫌な事があったり、なにか厳しい状況に置かれた時にこの言葉を思い出すようにしている。
 
 「ボクはマリーンズに入る前に練習をする場所もなければ、相手もいない時期を過ごした。その経験は自分にとって大きかった。今までいかに恵まれていたか。限られた条件の中で何が出来るか、自分のベストはなにかをつねに自問自答をした。そういう事を考えて行動に移した時間はとても大事な事だと分かった。今、なにが出来るか?何をしたか?それを考えるだけでも今後に繋がる事を知った」と鳥谷は振り返る。

 早稲田大学を卒業して16年間。2000本安打を達成し虎のレジェンドと呼ばれた。名門球団のスターとしてプロ野球の第一線で羽ばたき続けていた男は今年の2月、孤独の真っただ中にいた。タイガースを退団。現役続行を決めたが所属チームが決まらない日々。年末年始こそ練習相手もいたが2月のキャンプインのタイミングからはキャッチボールの相手すらいなくなった。誰かにお願いをすれば手伝ってくれた人もいたはずだ。ただ、人に迷惑をかけたくはない。野球界以外の仲間にもそれぞれの仕事がある。だから自分からお願いすることをよしとしなかった。自宅横の急坂を黙々と走り、自宅の敷地内で柔らかいボールを使ったティー打撃で感覚を確かめた。一番の日課は自宅のガレージでの壁当てだった。そんな苦しい状況下を鳥谷は今、笑って振り返る。それはまさにピンチをチャンスと捉えた結果に思える。長い空白期間を経て3月10日にマリーンズと契約を交わし入団を発表した。表舞台に戻り、サヨナラのホームに生還し地面に両手を叩き喜んだ。

「(現在のコロナの状況などは)難しい状況で困難な日々だけど、なんとかこれを力に変えて、今後の人生の糧にして欲しいと思うし自分はそうありたいと思う。この経験は今後に絶対に生きることがあると思う」と鳥谷は言う。
 
 ピンチを嘆くのは簡単だ。ただそこで冷静になり一度、立ち止まりチャンスがどこかにないかを見極められるかで人生は大きく変わる。不幸に見えることが幸せに繋がっていることは多々ある。不幸と幸せ、ピンチとチャンスは2人連れなのである。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章

Let's block ads! (Why?)



"それを変える" - Google ニュース
August 21, 2020 at 02:06PM
https://ift.tt/32beCmr

ピンチをチャンスに変える男 鳥谷敬。マリーンズを首位浮上に導いた激走 - スポーツナビ
"それを変える" - Google ニュース
https://ift.tt/38cbQ1Z
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

No comments:

Post a Comment