
北海道放送(株)
今週は、道内の様々なSDGsの課題や取り組みを、毎日お伝えしています。 今回は目標12番「つくる責任つかう責任」です。 およそ8600万本。去年1年間で出てきた、使わなくなったタイヤの数です。この廃タイヤを資源と捉えて、別の物に生まれ変わらせる技術を開発してきた札幌の企業があります。 札幌のサンピアザ水族館です。ゆらゆらと気持ちよさそうに泳ぐ魚たち。つい目を奪われますが、今回の主役はこちら、このきれいな水槽です。 サンピアザ水族館・福田利幸館長 「全面をきれいにしてから3か月くらい経った水槽です。意外ときれいですよね。決して(藻が)生えないわけではないけど、うっすらと生えた時にやれば簡単にきれいになる」 その秘密は…浄化装置に入っているこの袋。その名も「防かびポン」です。袋の中には抗菌メッキを細かく砕いたものが入っています。 抗菌メッキを砕いて水の中に入れるだけで、藻やカビの発生が抑えられ、清掃の労力削減につながっています。この粉砕技術。実は世界が頭を悩ませる、ある厄介者のリサイクル技術が原点にありました。 水槽の藻やカビの発生を抑えるのに活躍している「防かびポン」。開発したのは、札幌に本社がある寿産業です。 本業はまったく別…。 製鉄工場で使う機械「ローラーガイド」を作っています。1000度以上に熱した鉄を延ばす段階で使われる補助装置です。押し出されてくる鉄を、機械の中へ正確に誘導し、動かないように固定します。 寿産業は国内シェアの8割を誇り、車やビル、橋などに使われる鋼材の全てにローラーガイドが使われています。 しかし、初代社長は鉄一本に頼っていてはだめだと、22年前、新たな分野に乗り出しました。 寿産業5代目・鈴木俊一郎社長 「北海道ってタイヤがいっぱい余っている。『これどうしているんだ?』『切って燃やしています』そんなもったいない話しはない。タイヤってすさまじい資源だよね」 目をつけたのは使えなくなった廃タイヤでした。 国内の廃タイヤは97%がリサイクルされていますが、その65%が化学工場や製紙工場などで燃料として燃やされています。形を変えてリユースされているのは17%にすぎません。 寿産業は廃タイヤを素材に戻す、マテリアルリサイクルに挑みました。 開発を任された、社員の國奥秀雄(くにおく・ひでお)さんです。國奥さんが廃タイヤを回収している企業を回り、共同で開発を始めました。 北広島のこの企業もその一つです。 藤田と國奥さん 「すごいタイヤ、いっぱいありますね」 開発当初は、次から次へと問題が起きることから「モグラたたき」と言われました。 寿産業 環境開発室 銭函工場・國奥秀雄工場長 「やった時はめんどくさいとわからなかった。ハハハ。やっていってめんどくさいんだ、大変なんだと…非常にニッチな分野なのであまり儲からない。ハハハ」 鉄やプラスチックなど、硬い材質のものを粉砕するのと違い、弾力のあるゴムを砕くのは困難を極めました。さらに… タイヤには形を保つため、鉄の線やメッシュが入っていて、単純に切断・粉砕するだけではゴムチップにならないのです。 寿産業は、独自に鉄とゴムを分離する機械を開発。タイヤのリサイクルに特化してゴムチップにするまでに必要な一連の機械を作りました。 寿産業 環境開発室 銭函工場・國奥秀雄工場長 「リサイクルするのは、ヴァージンの物を使うより高上がりになるのかもしれないけど、CO2を出さないということを考えると、リサイクルは絶対に必要なのかな」 リサイクルしたゴムチップから作られたゴムマットです。廃タイヤ1本からゴムマットおよそ3枚ができます。 さらには、粉砕の技術を発展させて超微粒子と呼ばれるゴムの粉末も…。その大きさ0.06ミリと髪の毛に匹敵します。寿産業が開発した独自の技術です。 この再生ゴムを30%使って作ったゴム長靴です。小樽の「第一ゴム」と協力して作りました。 また、この技術は、廃タイヤから新しいタイヤを作る事にも転用できます。 寿産業・鈴木俊一郎社長 「企業が利益目的で考えていたんじゃ話にならない。家庭でもそれが当たり前にならなきゃいけない。こうしないと世の中は変わらない。これは国だけではない世界中だと。地球全部だと。という風になってくれば当然乗り遅れるわけにはいかない」 タイヤリサイクル機の開発から20年、時代がようやく追い付き、注目を集め出しました。 厄介者として扱われてきた廃タイヤを通じて、世界を救う技術を普及させたい。寿産業の挑戦は今後も続きます。 12月3日(金)「今日ドキッ!」午後6時台
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