
「攻撃の時間を長くすることを意識して」
0-1のまま時計は進み、フルタイムの90分に近づこうとというところだった。左サイドの敵陣深くで川崎フロンターレが入れたスローインに対して浦和レッズの選手たちがじわりと寄せていき、クリアミスを誘って伊藤敦樹が回収した。そのまま目の前の江坂任に渡すと、ヒールキックでリターンパスが返ってきた。 ペナルティーエリア左に少し入ると、体を開いて右足で狙った。これはGKチョン・ソンリョンに弾かれたが、こぼれ球に詰めた酒井宏樹がプッシュ。ついに同点に追いついた。 「(江坂)任さんから良い形でボールをもらえて、自分の前が空いていましたし、正直シュートコースは甘かったですが、あそこで打つことに意味があったと思います。(酒井)宏樹くんもしっかり詰めてくれていて、点につながって本当に良かったです」 打てば何かが起こる、のセオリー通りのフィニッシュだ。ボールに力がこもっていたからこそ、チョン・ソンリョンのセーブが遠くに飛ばなかった。 このスローインも、右サイドで攻撃を仕掛け、ファウルを受けてFKとなり、その流れから左サイドに運んでタッチラインを割ったもの。前半こそ川崎Fのパスワークに翻弄されたが、伊藤と大久保智明が入った58分のタイミング以降、足が動く2人の鋭いボールへのアタックが生きてじわりと押し返していった。それが実った形だ。 「0-1で負けている状況で守備の時間も多かったと思いますが、外から見ていて、入ったらまず自分のところで落ち着かせて、攻撃の時間を長くすることを意識して入りました。それがうまくいったのかなと手ごたえは感じています」 リカルド・ロドリゲス監督はこの重要な一戦を前にして「自分たちがどこにいるかを知る試合」と表現していた。浦和が2022年以降、優勝を勝ち取るためには、現チャンピオンであり、いままさに連覇に王手をかけている川崎Fとどこまで張り合えるかでその差を測ることができる。まさに未来を見通すための90分でもあったのだ。 「前期は0-5で大敗して、ルヴァンカップ(準々決勝)2試合と今日で3試合とも引き分けでしたが、前期に比べれば自分たちがやれることもあって、フロンターレ相手にも積み上げてきたものが出せた試合だったと思います。かなり手ごたえも感じましたが、やっぱり勝たないと意味がないと思うので、来年はしっかり勝てるようにまたやっていきたいです」 前進の自信はその手につかんだ。だが、勝てなかった。その繰り返しが経験となり、ルーキーは未来へと大きくなっていく。 取材◎平澤大輔 写真◎小山真司
サッカーマガジンWeb編集部
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