
講演会での出来事は、鮮烈に覚えている。彼は何百人もの聴衆の前で、自身の生い立ちやブランドを設立した背景、ロゴのカラーの意味について話してくれた。私は彼の言葉をなんとか理解しようと、必死にメモを取りながら聞いた。
当時「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」は、設立して25周年を迎えたところだった。その1年前、私は幸運にもニューヨーク・メトロポリタン歌劇場で開催されたブランド創立25周年記念パーティーに参加。オペラハウスの階段で行われたファッションショーをはじめ、米ロックバンドのストロークス(The Strokes)によるライブパフォーマンスも行われた。
そのころから、私の中で一つの疑問があった。
「トミー ヒルフィガー」は、アメリカを代表するデザイナーズブランドだ。でも当時の日本では、デザイナーズブランドという認識は薄く、“スポーツブランド”または“R&Bブランド”という印象が強かった。彼はその事実を知っているのか。それについてどう考えているのか。どうしても知りたかった。
講演会終盤の質疑応答の時間に、私は手を挙げた。「こんな質問をしたら会場からつまみ出されるのではないか」と怖かったが、チャレンジしたかった。
「私は日本から来ました。英語が分かりづらかったらごめんなさい。日本では、あなたのブランドはデザイナーズブランドだと思われていません。スポーツブランド、またはR&Bと精通するブランドだと思われています。そのことをご存知ですか?それについてどう思いますか?今後、日本でのブランドイメージを変えるつもりはありますか?」と、率直に聞いた。緊張は頂点に達していた。
すると彼は、「内緒だよ!僕は日本でのイメージにもちろん気付いている。だから今度、東京・原宿に大きなフラッグシップストアを構えるんだ。今、君を招待したよ!」と答えてくれた。
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