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Thursday, December 31, 2020

(36)自分を変える 未来も変わる - 熊本日日新聞

 「プレーヤーズファースト」「オープンマインド」を掲げて指導を続けた大津高サッカー部が全国大会出場を重ね、Jリーガーを何人も輩出するようになると、学校の内外でさまざまな変化が起きました。

 10年ほど前でしょうか。いつものようにグラウンドで練習を見守っていると、見知らぬ青年が1人、私を訪ねてきました。

 何だろう? と思って尋ねると「平岡先生のところを一度は見ておいた方がいいと周りから勧められたもので…」という返事。関東の県立高校で初めてサッカー部の指導をすることになったという先生でした。熊本まで1人で車を運転して、寝泊まりも車。もちろん断る理由はありません。1週間ほど練習見学を続けて帰って行きました。

 高校生世代のサッカーは、資金が潤沢なJリーグ大手クラブの下部組織や一部の私立高校が強豪として知られています。自分で言うのもなんですが、田舎の公立校なのに、何年も続けて1学年で複数のプロを送り出す大津高は本当に珍しい存在です。それが「一度は見とけ」につながっているようです。

 以来、教え子以外でも、高校・中学やJクラブの若い指導者がちょくちょく訪ねてくるようになりました。県内だけでなく在京メディアの取材も増えました。短時間の見学でどれだけ受け止めてくれるかは分かりませんが、少しでも日本のサッカーの進化につながればと質問に答えています。

 サッカー部に対する学校や地域の視線も赴任当初に比べると、全く様変わりしました。

 部員たちが授業や練習にまじめに向き合うようになると、自然と教職員や他の生徒たちも「サッカー部のファン」に変わってくるものです。それが互いに良い影響を与え合う好循環につながったように思います。

 大津高に赴任したてのころ、「あんたが来たぐらいではサッカー部は変わらんバイ」と言われたことがありました。ただ、今の大津高を見た上で振り返ると、当時はサッカー部だけでなく、学校そのものも活気を失っていたのかもしれません。

 学校全体の雰囲気が良くなると、有名進学校を受験しても合格しそうな生徒が「サッカーと両立したいから」と大津高を選んでくれるケースも出てきました。自分を変えることが周りを変え、未来を変える-。人間力を磨くことの重要性をあらためて感じます。

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