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Sunday, July 26, 2020

コロナで動き出す「貯蓄と投資」 人生を変える転機に - 日本経済新聞

写真はイメージ=PIXTA

写真はイメージ=PIXTA

今月は「新しいお金の生活様式」というテーマで考えてきましたが、今週考えてみたいのは「貯蓄」や「投資」との向き合い方にも変化の兆しがある、ということです。

~ちょっとした貯金の有無が苦境を左右~

この数十年間は、「カジュアルにお金を借りられる社会」へ変貌した時代でもあります。消費者金融がテレビCMを打ってイメージアップを図り、無人店舗が歓楽街や駅ビルに設置され、借り入れの心理的ハードルを下げました。

グレーゾーン金利の問題が浮上したものの、今では銀行系ローンも含めた再編が進んだ中、今ではスマートフォンのアプリで借り入れができるまでになっています。

しかし、コロナ禍のような苦しい時期になると「借金の利息と返済期日」は重いものだということが再認識されたはずです。さらなる借金をすれば、それこそ将来の自分にツケを先送りしてしまいます。

むしろ大切なのは「ちょっとした貯金の差」です。1カ月分の生活費になるくらいの貯金をもっておく、というとささやかな金額ではありますが、それを持つ人と持たなかった人の間には、コロナで休業を余儀なくされた場合の深刻さはまったく違いました。

必要な額は人それぞれです。シングルなら10万円ですむかもしれませんが、ファミリー世帯はそうはいきません。住宅ローンを借りていたり、子どもの学費納入があったりする家庭では、1カ月の生活費も高くなりますし、むしろ数カ月分の備えが必要といえます。

「貯金は大事」という当たり前の常識が、今こそ改めて実感できたのではないでしょうか。

~借りる人生からためて使う人生へシフトするとき~

だとすると、貯蓄体質への改善がウィズコロナ時代の家計の基本ということになります。

年収減少に直面している人は落ち着いてからでもかまいません。しかし、ウィズコロナ時代には少なくとも手取り給与の10%くらいは貯蓄できるように生活スタイルを整えていきたいものです。

毎月の手取りから貯蓄するのが難しい場合であってもボーナスからの貯蓄も併用しつつ、年収の15~20%くらいをためられるようになれば理想的です。

今までまじめに貯金をしていなかったという人は5%、10%と段階的に増やしていければいいでしょう。すでにがんばっていた人はそこから数%でも上積みを目指してみたいものです。

先月は節約の話をしましたし、先々週は家計の支出内訳が変動しつつある今こそ、価値ある消費について考え直すときだという話をしました。ぜひ、意味のある支出を、ムダなくコンパクトに行えるように見直しをしてみてください。

~個人投資家が相場が下がったとき動いた意味~

貯蓄と対になる資産形成のキーワードには「投資」があります。これもまた今回の新型コロナウイルスを背景に大きな変化があった項目です。

それは「市場が大きく下げたとき、個人投資家が動く」というものです。しかも市場から逃げる動きではなく、市場に参加する動きです。

かつては下げ相場では個人投資家は手を引くのが常でした。しかしモーニングスターの調べによれば、新型コロナウイルスの影響で株価が大きく下落していた3月や4月につみたて少額投資非課税制度(NISA)を通じて投資信託への大幅な資金流入があったそうです。

これは一時的に下がったマーケットを好機とみてチャレンジする個人の少なくなかったことを示します。投資信託は個人の少額からの資産形成にもっぱら使われる方法ですし、つみたてNISA経由というのがそれを裏付けています。

個人の投資については周辺環境は整備されました。NISAが創設されたり、iDeCo(個人型確定拠出年金)が規制緩和されたりして、「器」の準備が整いました。つみたてNISAでは運用コストが低廉な商品の選択肢が広がり、各社の競争によりさらなる低コストが実現しています。

ひとつの投資信託で手軽に世界中に分散投資ができ、かつそれが低コスト(さらに運用益非課税)で購入できるという背景があってこその、「コロナ時代の個人投資」なのだと思います。

~NISAやiDeCoで長期投資が日本に根付く~

報道によればネット証券などのNISA口座開設、iDeCo口座開設が増えていると言うことですが、これも興味深い動きです。

つみたてNISAおよびiDeCoは、少額の積み立て投資を中長期的に継続することを想定した制度です。つみたてNISAであれば月3.3万円が上限になりますし、会社員のiDeCoであれば、月2.3万円(企業年金がある場合は月1.2万円)までしか積み立てられません。

まさに普通に働く個人の資産形成方法であり、「今がチャンスだから100万円の買い!」のような投資を行うことができない仕組みです。それでも利用が伸びているということが大きな意味を持つように思います。

口座開設をした人たちは、今は値下がりのタイミングであるが、長い目で見れば経済が回復することを期待し、投資を行おうと考えています。中長期の投資スタンスです。

リーマン・ショックのときにはまだ少数派であった、個人の長期投資家層が今まさに誕生しつつあるのだとしたら、これは前向きに捉えていいと思います。そして、社会が新型コロナウイルスを克服し、経済が回復したときには多くの個人の資産運用は笑顔で振り返ることができるものになるはずです。

さて、個人の消費や投資行動などについて「新しいお金の生活様式」について考えてみましたが、働き方、稼ぎ方にも大きな変化が現れていることも見逃せない変化です。

来月は「新しいお金の生活様式 働き方編」としてもう少しLifeとMoneyの問題を考えてみたいと思います。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。https://ift.tt/28IOXJH

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