30歳になった辺りから私は、生徒たちの気持ちを前向きにするためには、どんな言葉をかけたらいいのか「言葉配り」を強く意識するようになりました。
大学生時代はテレビ番組の「スクールウォーズ」に感動した口です。それをまねて、教師になりたてのころは「よし、オレについて来い!」と勢いで生徒を引っ張ろうとしていました。失敗をしたら「何をしているんだ!」と怒鳴るような指導です。当時は厳しさこそ選手を強くすると考えていたのです。あるいは「指導がうまくいかなかったら」という恐怖心の裏返しだったのかもしれません。
ただ、教師として経験を積むうちに、生徒たちが自らチャレンジするような雰囲気をつくるには、指導者である自分自身がチャレンジする姿を見せることが大事だと感じ始めました。
一番のきっかけは国体の2年連続準優勝でしょうか。日本一までの「あと一歩」を埋めるには、生徒たちだけでなく、私も何かを変える必要がありました。
自分の理想に生徒たちをはめこむのではなく、彼らのいいところを伸ばす。そのためには生徒たちが自分で自分をコントロールして夢中になって練習することが大切ではないのか。それがサッカーに大事な人間力を高めることにつながり、ひいてはチームを前に進ませる推進力になるのではないか。
そんな考えから「24時間をデザインしよう」という言葉を思い付きました。一日の時間の使い方を自分で考えようという意味です。
以前述べたことの繰り返しになりますが、大津高の部活の練習は1回100分です。人間、終わりを決めないと途中を頑張れませんし、だらだらと長い時間、練習しても高い効果は望めないでしょう。限られた練習時間の中で生徒たちがチャレンジを積み重ね、主体的に課題と思っている内容をクリアすることが重要なのです。それが前後半合わせて90分というサッカーの試合時間の中で自らをコントロールする術[すべ]を身に付けることにもつながるはずです。
さらに、この考え方を一日に広げるとどうでしょう。大津高サッカー部の取り組みは、勉強や社会生活、学校生活のルールの厳守を求めています。部活以外の時間を個人練習、勉強、休養などにどう割り振っていくかを考えることによってサッカーだけでなく、人間力も磨けると思いませんか? 24時間は有限ですが、それぞれの工夫の仕方は無限なのです。
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