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Saturday, August 15, 2020

“言葉の運転初心者”に投げかける言葉をリクエストされて… - デイリー新潮

片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡 エンタメ 芸能 2020年8月16日掲載

片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡4

 前回のメッセージで、8年にも亘ったエゴサーチを断つことに成功したと綴った片寄涼太。彼にとっては、SNSでの言葉の暴力に悩まされた8年間でもあった。SNSに集う、“言葉の運転初心者”たちに、作詞家はどんな提案をするのか。

拝啓 片寄涼太様

 ついに始まったね。すでに楽しくて仕方がないぞ、往復書簡。涼太に手紙風のメッセージを書くのも、それにかこつけて色んな人に自分の文章を読んでもらえるのも嬉しい。あまり持ち合わせていないと思っていた自己顕示欲がむくむくと成長しそうで怖くもあります。

 さて、質問にあったSNSについて。インターネットがとにかく便利だというのは百も承知。昔、アメリカでの学生時代に睡眠時間を削り毎日図書館にこもって、ボロボロの英和辞典片手に調べものに明け暮れた血の滲むようなあの勉強時間は何だったのか? とか、小遣いの全てを日本の友人への国際電話代に費やしてた私が気の毒だ! と嘆かずにはいれないコンビニエンス。

 でもさ、その便利さに、用心深く咀嚼すべきものを無謀に丸飲みしちゃってるような怖さを感じてしまうのは私だけか?

 ちなみに、私もエゴサーチはとうの昔に葬りました。私は涼太ほどの有名人ではないので、エゴサーチ収穫はさほどありませんでしたが、以前していた時には、思わず顔がニヤけるほどのお褒めの言葉とベートーベンの「運命」が空耳で聞こえてくるような辛辣な中傷が共にありました。

 私の歌詞は独特のクセが強く、「古臭い」とか「難しい」とか言われがち。しかし、「文学歌謡」みたいなのが私の永遠の作詞テーマなので、それを変える気は毛頭ない。君の言う通り、知らない誰かの意見や言葉を気にして自分の仕事に挑むのは、依頼してくれた人や私の歌詞を支持してくれる人のことを裏切ってしまうことになるのでは。

 でもさ、有名になればなるほど、人気が出れば出るほどアンチが生まれるのがこの世の常で、世間の評価は心を凪状態にして受け止める、それがプロ、と言うか、ホンモノなんだと思う。そうじゃないと正体がわからない無自覚で無責任な他人に、大切な自分の個性や心や魅力や才能、ときに命までも奪われかねないから(あの恋愛リアリティーショーの出演者の方の死は、決して忘れてはいけない痛ましい出来事として私の胸をえぐった)。

 昨今の大SNS時代において、この連載開始前までSNSでの発信が皆無だった私にはかなりの頻度で手紙が届いていた。わざわざ手紙をしたためてくれるくらいだから、送り主は私の歌詞を好きになってくれた人。私の歌詞のそれはもう奥深いところや裏側まで読み取ってくれていて、綺麗事でもなんでもなく本当にありがたいのである。

 だってさ、肉筆で長い文章を書いて自分の想いを伝えるのって、とてつもなくエネルギーを使うじゃん? それをやってくれる人がこんなにいると思うと感激するよ。しかも正々堂々と住所・氏名も明記してある。そりゃ、自分も手紙とか書きたくなっちゃうよ。これ、本当に今回の連載の一番のきっかけです。

 それはそうとして、君からの質問、“言葉の運転初心者”の方達にどんな言葉を投げかけるか? ですが……。

「本を読んでください」が私の回答です。読書は人間の脳と心の襞を増やします。言葉に敏感になります。自分の人生とは全く異なる人生を何度でも疑似経験できる魔法のアイテムです。なんとなくネットを見たり不毛な書き込みをしたりするくらいなら、本を読む方がずっと感性が豊かになります。昨今の人々の読書離れを嘆いている者の一人として、私はこれを強く提唱します。あっ、日本が誇るカルチャーである「漫画」も、私の中では立派な書物です。

敬具

小竹正人

片寄涼太 Ryota Katayose
GENERATIONS from EXILE TRIBEのボーカル。1994年8月29日生まれ。大阪府八尾市出身。祖父と父が音楽教師で、若いころからピアノに親しむ。2012年にデビュー。14年にドラマ「GTO」で俳優デビュー。19年に映画「午前0時、キスしに来てよ」で橋本環奈とW主演。GENERATIONS「You & I」が配信中。

小竹正人 Masato Odake
作詞家。3月10日生まれ。新潟県出身。東京・本郷高校、カリフォルニア州立大学卒業。 作詞曲「Unfair World」で第57回日本レコード大賞受賞。「花火」(三代目J SOUL Brothers from EXILE TRIBE)など、数百曲を手掛けた。小説は『空に住む』『三角のオーロラ』(共に講談社)、歌詞&エッセイ集に『あの日、あの曲、あの人は』(幻冬舎文庫)。2017年から、自身の歌詞をモチーフに、三池崇史、行定勲、河瀬直美、石井裕也らが映像化する「CINEMA FIGHTERS project」のコンセプトプロデューサーを務める。

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